[iOS 8] Swiftでデザインパターン No.9 State
State
State とは
英単語 State には以下のような意味があります。
- 状態
- 状況
State パターンは、オブジェクトの内部状態が変化したときに、オブジェクトが振る舞いを変えるようにするパターンです。
クラス図
ポイント
- Context は状態を表す状態オブジェクトを保持している
- 状態に依存した要求はすべてこの状態オブジェクトに委譲する
サンプルコード
例として、信号機を考えます。
信号機には以下の 3 つの状態が存在します。
- 青
- 黄
- 赤
本来、信号機は時間が経つにつれて状態を変化させますが、自動ではつまらないため、画面上のボタンがタップされたら状態を変化し、その状態の時の色を背景色にするというコードを書いてみました。
実行画面
TrafficLight
class TrafficLight { private var currentState: State = StateGreen() var state: State { get { return currentState } set { currentState = newValue } } var color: UIColor { get { return currentState.color } } func changeColor() { currentState.goNext(self) } }
信号機を表すクラスです。
状態を表すオブジェクト currentState を保持します。 色を取得する処理や状態を変更する処理は、状態オブジェクトに委譲しています。
State
class State { var color: UIColor { get { return UIColor.blackColor() } } func goNext(trafficLight: TrafficLight) {} }
状態を表す抽象クラスです。
StateGreen
class StateGreen: State { override var color: UIColor { get { return UIColor.greenColor() } } override func goNext(trafficLight: TrafficLight) { trafficLight.state = StateYellow() } }
「青」状態を表すクラスです。
次の状態は「黄」です。
StateYellow
class StateYellow: State { override var color: UIColor { get { return UIColor.yellowColor() } } override func goNext(trafficLight: TrafficLight) { trafficLight.state = StateRed() } }
「黄」状態を表すクラスです。
次の状態は「赤」です。
StateRed
class StateRed: State { override var color: UIColor { get { return UIColor.redColor() } } override func goNext(trafficLight: TrafficLight) { trafficLight.state = StateGreen() } }
「赤」状態を表すクラスです。
次の状態は「青」です。
ViewController
class ViewController: UIViewController { let trafficLight = TrafficLight() override func viewDidLoad() { super.viewDidLoad() view.backgroundColor = trafficLight.color } @IBAction func buttonTapped(sender: AnyObject) { trafficLight.changeColor() view.backgroundColor = trafficLight.color } }
ビューコントローラです。
ボタンがタップされた時に信号機の状態を変化させ、その時の色を背景色に設定しています。
まとめ
- Swift のセッターは引数を省略することができる
- その場合、値は newValue という変数に格納される
リンク
おまけ
Q. 信号の緑は青色に見えますが、青と緑、どっちが正しいんですか?
A.
昭和5年に初めて信号機がついたとき、法令上は「緑色」でした。 しかし、日本語の「青」の範囲は広く、青菜や青物など緑色のものを「青」と呼ぶ場合が多く、色の三原色「赤・黄・青」からも緑色の信号も青信号と呼ばれたのでしょう。 こうして青色信号という呼び名が一般的になってきたことから、昭和22年に法令でも青信号と呼ぶようになり、昭和48年以降に作られた信号機は呼び名どおり青色になりました。 (それ以前に作られた信号機は緑色に見えるものがあります) このようなことから、今では一般的に信号機は「赤・黄・青」と呼ぶようになったのです。
警視庁ホームページ 広報けいしちょう より
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